7月25日放送『プレバト!!』俳句の詳しい解説です。
前編はこちら👇
テーマは「ラーメン」です。
テレビで発表された順にいきます。
岡田紗佳 「らあめん屋 外の蝉まで 舌鼓」 4位
”暑い日に外で蝉が鳴いている中、ラーメンをすすっていると蝉が「おいしいね」と言っているように聞こえてくる”という句。
季語【蝉】[夏]
梅沢さんに、”読んだ人によっては、ラーメン食べて、外の蝉まで食っちゃったと思われる”と言われていておもしろかったです🤣
夏井先生「私もあの、まさか蝉まで食ったんじゃないだろうなと疑いはしました。蝉を食べてないにしても、蝉まで私と一緒に舌鼓を打ってくれるに違いないって、それもね、ちょっと幼稚な擬人化なんですよね。外から行きましょ。店の外だよって、これで店外って読むでしょ。”店外は蝉”。諸悪の根源の”まで”は消しましょう。『店外は蝉 ラーメンに舌鼓』ってやったら、今あなたは中にいて食べていると。で、もうついでに言わせてもらうと、このラーメンひらがなで書いたのも工夫したんでしょ?」
岡田さん「はい。そうです。」
夏井先生「でもあんまりどうでもいい工夫でしたね」
梅沢さんに蝉食べてるって言われて、岡田さんが必死で否定して浜ちゃんが爆笑してるの楽しかったです🤣
蝉までおいしいと言ってくれているって擬人化は確かに小さい子っぽい発想な感じはします💦
次は、2位です。
ペナルティ・ヒデ 「空蝉や 雷紋消ゆる 鉢の底」 2位
”捨てられてた食器にラーメンの器があってその中に、偶然か子供が入れたのか蝉の抜け殻があった。捨てられたものと育っていったものを見て色々なセンチメンタルな思いがして”詠んだ句。
季語【空蝉】[夏]:セミの抜け殻
雷紋:ラーメン丼の周りにある模様の事
村上さんに”空蝉”だということで外のことだとわかると言われて、ヒデさんが食べてる器の底にあると思われないか心配だったと言っていました。
夏井先生「これは空蝉という季語をちゃんと信じて自分の表現したいことを書いたと、そういう一句ですよね。一つの可能性としては、屋台のようなラーメン屋さんかもしれないと、そういう風にも1つは読めます。で、もう1つは空蝉が寂しげなそういう表情を持っているので、捨てられている物かもっていう読みも当然出てくるわけですから、そこはあなたの狙い通りということになりますね。あとね、この上を目指すとなった時に、描写の精度っていうのをもう一押し考えてもいいかもしれません。”消ゆる”というよりは、”あせる”ではないか。『空蝉や 雷紋あせる 鉢の底』って。こういう風にすると映像がより精度高くなると。この調子で頑張りましょう」
ヒデさんは炎帝戦にも出ているし、今回も才能アリで確かな実力を持っているのに、今回1位じゃなくて残念でしたね💦
次は3位です。
アンミカ 「盆の月 ラーメンの香に 父偲ぶ」 3位
”ラーメンの香りでお父さんを思い出す”という句。
季語【盆の月】[夏]
村上さんはアンミカさんのリアクションが1位を取ったみたいだから何か言えないと言っていて、梅沢さんが学ぶためにもちゃんと言ってやらなきゃいけないんだ!と怒っていました💧
梅沢さんいわく、「凡人中の凡人」、盆の月は父母を偲ぶものだから”偲ぶ”がいらないそうです。
夏井先生「もうこれは、名人のお2人がおっしゃったとおりですよね。まず良いところからいきましょうかね。この”盆の月”という季語を見つけてきて、これを使ってお父さんの思い出を書こうとしてるってここの選択はいいと思いますね。で、ただ”盆の月”という季語を信じることが出来たら、やっぱり”偲ぶ”はいらないんですよね。これねー、もう凡人の人達よく偲ぶんですね。もうなんでもかんでも偲ぶんです。はい。で、こっから後なんですけれど、そうですね、”盆の月 かの”って書いたらあの時のとかあの日のラーメンっていうような意味になる『盆の月 かのラーメンの 香よ父よ』って詠嘆してみましょうか。この「よ」「よ」っていう詠嘆にあなたの思いがぐっと入っていく、そんな感じになりますね。でも、成長しました。ホッとしました。」
「凡人の人はとにかくよく偲ぶ」が笑ってしまいました😆
”偲ぶ”を使っている俳句って作った人がしんみりしてツッコミづらそうですけど、いいですね~容赦なくて🤣
次は最下位の勝俣さん。
勝俣州和 「麺の神 汗に塗れた かたつむり」 5位
”東池袋大勝軒の山岸さんというラーメンの神と言われた方が足の病気になり立つことも困難な中、お客さんの為にラーメンを作り続けた”という句。
山岸さんが人の幸せの為に一生懸命な様子を、本来は汗をかかないかたつむりに例えています。
季語【汗・かたつむり】[夏]
梅沢さんに季語が2つある、何を言っているのかわからない!と怒られていました😅
村上さんにはとても尊敬して作ったんだろうけど、結果としてはすごい侮辱していると言われてめちゃ面白かったです🤣
夏井先生「いや~もうほんとに、久しぶりに意味がわかんないと思って。私がわかったのは、なんか麺の神様っていうものに何か書きたかったんだろうなってそこだけです、わかったのは。なんでかたつむりが出てきたの?」
勝俣さん「あの…お客様が喜ぶラーメンだけを、あの、一生懸命作って歩いていたっていう人生を…」
夏井先生「あ、比喩なんですね。じゃあもうこれ悪いけどどっちか消さないといけないので、そのつまらない比喩はやめてください。もうこれさえなければ、何とかなりますね。そして、あの、こういうものを山岸さんに?こういう句を送ったとしても、すごく嫌な気持ちになると私も思います。」
浜ちゃん「村上言うてたな。侮辱してるって」
夏井先生「私も村上さんの意見にほんとに賛成です。で、”麺の神と”、「と」入れさせてください、ちょっと字余りになるけど。”麺の神と”言われているんですね。”呼ばれて”これで意味が通ってき始めたでしょ。『麺の神と 呼ばれて汗に まみれけり』くらいかな。で、前書きで(ラーメンの神 山岸さんへ)とかってここね、前書きでもつければ送られて嬉しいシロモノになりますよ。でも、ほんと久しぶりですね。あなたのこの『わからないシリーズ』」
浜ちゃん「かっちゃんいい加減にしてや、もう」
勝俣さん「あの、山岸さんのお墓に行って謝ってきます」
めっためたでしたね💧比喩はやっぱりだめですよね~。いつも怒られてる😅
初心者の人は比喩使いたがるから…。
次は1位の蝶花楼桃花さん。
蝶花楼桃花 「前座二年目 具のない冷やし中華」 1位
”師匠方と一緒にいる時はおいしいものを食べさせてもらえるが、1人のときはお金がなくて具のない冷やし中華を食べていた。でもお腹がすいているからそれもおいしいと感じていた前座修行のときを思い出して”詠んだ句。
季語【冷やし中華】[夏]
夏井先生「これはね意味が読んだ瞬間はっきりわかると。これはとても大事なことですよね。そして具のない何々って色々食べ物はあるでしょうけれども、季語であって具のないという状況がありありとなるほどとわかる、そういう食べ物として冷やし中華はとても素晴らしいポイントだったと思いますね。もちろんこのまんまでも何の問題もないんですが、足して17音という破調の調べだと悲壮感というか悲哀というか、悲しい方にちょっとだけ一句のイメージが傾くんですね。で、あなたがそう言う気持ちでこの句を作ったのならこのまんまでいい、で、いやいや、そうはいっても自分なりにあの時代というのは飄々と楽しく学んでいたわっていう風なことであれば、”具のない冷やし中華かな”と。『前座二年目 具のない冷やし中華かな』」
梅沢さん「この”かな”はいいな~」
夏井先生「いいでしょ?おっちゃん。この”かな”を置くと悲壮感がスーッと無くなっていくと。あなたとしてはどっちだった?」
蝶花楼桃花さん「私はおいしかったんで、”かな”です!」
夏井先生「じゃ「かな」をつけてあなたの一句にいたしましょう」
「かな」をつけるとちょっと楽し気になるんですかね?たしかに明るい句っぽい感じかも…。
今回の放送では、やっぱり擬人化と比喩は怒られてましたね😅まずは素直に詠むところからですね~。
次は村上さんの句です!😆
原点に戻って細かい気づきを俳句にしたそうです🎵
フルーツポンチ・村上 「味玉の 尻に凹みや 夏の夕」
”ラーメンを食べていて、煮卵のお尻の部分がへこんでいることに気づいた”という句。
季語【夏の夕】[夏]:暑さが少し和らいだ夏の夕暮れ
”夏の夕”という季語もノスタルジーな感じで相性がいいのではないかと思ったそうです😉
先生からの一言「独自の目線が健在」
夏井先生「ほんとに良く見てますよね。ポンチ君らしいですね。味玉という物、さらに尻、さらにその凹み、でその凹みを見つけた自分、嬉しいなって思って「や」をつけて詠嘆をすると。もうポンチ節ですよね、これはね、ほんとに、素晴らしいと思いますよ。そしておっちゃんも触れてくれましたけれども、ここ、味玉しか書いてないのにラーメン屋の匂いとか熱気とかざわめき、人の声とかそういう物が全部「や」の詠嘆の後ろに入っていると、ありありとこう見えてきますね。これが俳句の力というものだと思います。そして問題の季語です。このタイプの句は、最後の季語が何が来てもある程度成功するというそういうタイプの句なんです。だからなおさら季語が難しくなってくると。そんな中で”夏の夕”とてもいいと思います。夏の暑さが残る、でも少ししのぎやすくなった、腹ごしらえをして帰ろうかと、味玉の卵の色、外のお醤油の色とかね、そういうものと夕暮れの空の色みたいなのとかすかに触れ合いますよね。そこら辺もよく考えて作っていると。こういう季語案外難しいんですけれども、これはさすがだと褒めましょう」
今回は掲載決定で良かったです!🎉
夏井先生めっちゃ褒めてましたね~。
村上さんの細かい気づきの俳句大好きです!😆
夏井先生の話を聞いているときの村上さん超ニッコニコでした🤣
最後は特別永世名人・梅沢さんの俳句です。
梅沢冨美男 「夜の秋や 色紙だらけの ラーメン屋」
”夕方ちょっと涼しくなる時期に、ラーメンを食べたくなって入ったお店にたくさんの色褪せた色紙があって、ここのラーメン屋きっとおいしいんだろうなと思った”という句。
季語【夜の秋】[夏]:夏の終わりの頃、秋の気配を感じる夜
村上さんが”だらけ”がマイナスのイメージじゃないかと言っていて、梅沢さんはしおらしくしていましたが、結果はお見事!
先生からの一言「手堅く置きにきましたね」(浜ちゃんが笑ってた🤣)
夏井先生「ほんとに手堅く置きにきましたね。よっぽどシュレッダーになりたくないんだなと。まず良いところから抑えましょうね。この句の中で一番良かったのは「夜の秋」という季語を選んだところなんですね。秋という字がありますけれども、夏の季語になります。夏の終わりの頃、夜だけはちょっと涼しく過ごしやすくなる、夜だけ秋が来ているかのようだ、こういう季語なんですね。夜の秋という季語を詠嘆いたします。そしてこっからです。これもね、語順が案外いいんですよ。色紙のアップからいって”だらけ”、さっきあの村上さんも指摘してたけど”だらけ”っていうのは、”いっぱい”という意味とちょっとこう”ごちゃごちゃしている”みたいなそんなマイナスのイメージもあるんですが、それが結果的にラーメン屋に対して悪い効果は持ってこないんですね」
梅沢さん「ほらみろ!お前にはわからないんだよ!あと14句くらいのことで!えらそうに!」
村上さん「急に息吹き返して~さっきまでのどこいったんですか」
ヒデさん「梅沢さん、情緒不安定なんですけど」😓
夏井先生「もうちょっと褒めていいですか!色紙一枚のアップから”だらけ”、1枚じゃないいっぱいあるんだと、そしてそれがラーメン屋さんだとわかると。そうするとこれだけ色紙”だらけ”ほどあるんだから有名人がいっぱい来るおいしいラーメン屋さんに違いないと。こういうことが全部ここまでで読み取れるわけです。そしてこっからこの季語がちゃんと効いてくるわけですよね。暑いから熱いものを食べたいという人ももちろんいらっしゃるけれども、ちょっと涼しくなってまたラーメン食べたいなってそういう人もいますよね。おっちゃんや私の年齢になったらなおさらそうですよね」
梅沢さん「そうです!はい!」
夏井先生「そうなった時に「夜の秋」というのがしみじみ自分の思いを表現してくれるという風になってるんですね。基本形にきっちり入れたほんっっとよっぽどシュレッダーになりたくなかったんだなと」🤣
梅沢さん、めちゃくちゃ元気になってる😅
置きに来たって何度も言われておもしろかったです🤣
でも、こういう俳句を作っていくうちに調子が良くなっていくかもしれないし…。
せめて半分くらいはお見事になって欲しいかも…。(そのくらいの割合の方がおもしろい)
次回は8月1日です。
お題のラーメンからラーメンどんぶりを紹介🍜
美濃焼 日本製です。