8月1日放送『プレバト!!』俳句の詳しい解説です。
今回は名人・特待生一斉査定です。
前編はこちら👇
テーマは「秘密基地」です。
水野真紀 「秘密基地 夏夕暮れに 母の声」
”子供の時、社宅に住んでいて1階のベランダの下が隙間になっていてよく遊んでいた。そんな時、母が必死に叫んで探していて出るに出られなくなってしまった”という句。
季語【夏夕暮れ】[夏]
昇格試験ポイント:「夏夕暮れに」の表現の是非
特待生5級 現状維持
先生からの一言「語順が違う」
水野さんが夏井先生の本の2冊買って勉強したと言っていました😊
梅沢さんが語順が違う、”母の声 夏夕暮れの 秘密基地”という句だったらと言ってました。
夏井先生「全体読んだ時に、夕暮れでお母さんの声がしていて自分はまだ遊んでいるという風なそういう状況にちょっと既視感があるというか、あるよね?そして問題点は2つなんです。この2つをおっちゃんが見事に、なんと言ってしまいました。素晴らしいと思います。まず1つ目、”夕暮れに”の「に」この助詞の使い方、この場合の「に」は説明的な散文的な使い方になるので、これがまず損をするわけです、はい。これを別の助詞に変えるというのが1つ。それからこの語順よりは、逆から行った方が得することがあるんです。まずお母さんの声が聞こえてきます。それは、夏の夕暮れのことです。”夏夕暮れの秘密基地”ってなったらちょっとずつお母さんの声から離れていって、自分は秘密基地の中にいてお母さんの声が遠くから聞こえてくるような、声の遠近感がここに生まれるというそんなことになります。」
🖌添削後『母の声 夏夕暮れの 秘密基地』
浜ちゃん「先生、2冊買ったらしいですよ!」
夏井先生「毎度ありがとうございます」🤣
梅沢さんがずばり当てちゃってましたね!
永世名人の方達の指摘って当たりますよね~。他の人の句は冷静に見れるんでしょうね🤩
続いては、犬山紙子さん。
犬山紙子 「冷蔵庫の奥 プリンの 秘密基地」
”歳時記を見て冷蔵庫が夏の季語だと知った。いつも冷蔵庫に物をすごく詰めてしまい、知らぬ間にプリンが奥の方に追いやられて、家族に見つからず安心して食べられる”という句。
季語【冷蔵庫】[夏]:冷たいものが夏に好まれることから
昇格試験ポイント:「秘密基地」比喩の効果の是非
特待生2級 1ランク昇格→ 特待生1級
先生からの一言「些細なことなのに大げさですね!」
夏井先生「冷蔵庫の奥にプリンがあっただけと、隠れていただけと、たったそれだけのことを、こういう風に大げさに秘密基地だなんていう風に例えることで、まさにユーモアも出てきますし、それはとても良かったと思いますね。確信犯的に隠していたのか、あるいはもうそこにあったことをすっかり忘れていたのか、どっちも想像できて、その想像によって秘密基地の味わいがこう、変わってくると。それもこの句の奥行きになりましたね。で、このまんまの字面、調べでもいいんですけれども、もう1つの考え方として、「冷蔵庫の」までを上五字余りにして、中七下五でリズムを取り戻すと。ここ(奥のあと)にあえて「に」をつけるんです。”冷蔵庫の 奥に”、で場所を指差すような奥行きを作る。『冷蔵庫の 奥にプリンの 秘密基地』ってこうなりますね。あなたの表現したかった事は、これがあった方がいいのではないかとそんな風には思いました。」
犬山さんの句はいつもおしゃれですね~✨
足して17音の破調にするよりも、上五が字余りでも中七下五を正しい文字数にすると俳句!って感じがしますね。やっぱりリズムって大事だなと思います😆
続いて皆藤愛子さん。
皆藤愛子 「風薫る 放課後今日も 秘密基地へ」
”実体験で、親友のルミちゃんと毎日必ず放課後、秘密基地に行くのを楽しみにしていた”という句。
季語【風薫る】[夏]
昇格試験ポイント:「放課後」+「秘密基地」発想の是非
名人7段 1ランク降格→ 名人6段
先生からの一言「発想がありきたり!」
夏井先生「今回の秘密基地というお題ですよね。放課後の子供たちが集まって遊ぶっていうそういう情報もこの秘密基地の中には入っていると。そういう意味で放課後とこれ(秘密基地)を取り合わすと”子供”ガチャーンとそこに行っちゃいますからこれは損でしたね。まず、この”放課後”というのをやめるだけでも空気が変わってきます。で、私、今聞いてて、何?親友の」
皆藤さん「ルミちゃんです」
夏井先生「そう。親友のルミちゃん、そういう情報入れるだけでも変わってくるでしょ。『風薫る ルミちゃんと行く 秘密基地』とかって言うだけでも、あ、小さい頃の親友のルミちゃんなんだなってわかるじゃないですか。さらに、”今日は”ここですよ。”今日は行けない秘密基地”とこっちに持っていく。『風薫る 今日は行けない 秘密基地』って書けば」
ここで梅沢さんが「あ~いい!!」とめちゃ騒いでました🤣
夏井先生「おっちゃんやかましいね、ほんと。こういう風に書くと、いつもは、まっさきに行くに違いないのに、なぜ今日は行けないのかと。塾があるんだろうかとか、お母ちゃんに今日は早く帰れと言われてるんだろうかとか、想像し始めるでしょ?」
ここで、浜ちゃんが手のひらにメモを取るジェスチャーを!🤩
清水アナ「あー、メモしてます。浜田さんがメモしてる」
ちょっ…!🥺
浜ちゃんが夏井先生の言葉をメモしてた!
俳句作りたくなってるのかな!?参加してくれないかな~!😻
添削後の夏井先生の俳句いいですね~!梅沢さんが騒ぐ気持ちわかります😊
次は森口瑤子さん。
森口瑤子 「まるで秘密基地 博士の夏館」
”秘密基地を想像したら蔦が絡まったようなからくりがいっぱいの館が浮かんで、これ誰の?と思ったときに博士じゃないかと思い、夏館という季語と組み合わせてみた”という句。
梅沢さんが季語と合うのかどうか…と言っていましたが、当たってましたね。夏井先生が清水アナにAの結果の方を渡すように言っていました。この方式久しぶりです。
季語【夏館】[夏]:夏らしい装いをこらした館。和よりも洋の趣。
昇格試験ポイント:季語「夏館」を取り合わせた是非
名人9段 1ランク降格→ 名人8段
先生からの一言「季語の選び方」
夏井先生「まず良い所はですね、秘密基地という言葉からどうしても子どもっていう発想に流れるので、博士という大人の人物を持ってきたと。ここらへんはよく工夫をしてありますね。そして問題の”夏館”です。夏館というのは、夏を心地よく過ごすために涼し気にしつらえたそういう館のことなんですね。ですから、博士の秘密基地って言われたら色んなものがごちゃごちゃいっぱいあって面白そうなところなんじゃないかなと私たちは思うんですが最後に夏館がくると、あれ?って、スッキリしてんの?とかって、その違和感を永世名人が語っていたと、こういうことになりますね。夏にしちゃうと意味が変わってくるわけですよね。例えば、ここに青い蔦と書いて青蔦というのも季語なんですね。”青蔦の館”、そして”まるで”がいらない、まるでって言わなくても博士の秘密基地って言えばいいでしょ。『青蔦の館 博士の秘密基地』って言ったら”まるで”なくても意味ちゃんと通るでしょ。これ(まるで)が諸悪の根源だったのよね」
夏館…ちゃんと使えたらカッコいいですね。
季語の意味を正しく知り、正しく使うことは、俳句を作る上で最優先ですね😓
お次は中田喜子さん。
中田喜子さんは俳句を考えすぎて歯ぎしりで歯が欠けてしまって、マウスピースを4個壊したという😨ものすごい努力をしているんですね💦
中田喜子 「ケーナの音 麦の風吹く 秘密基地」
”ケーナというのはペルーの縦笛のこと。平泉成さんがケーナを手作りしていてその笛を田中健さんが吹いている。そのケーナの音色を聞いているとクスコの麦畑から麦の風が秘密基地に吹いてくるようだ”という句。
季語【麦の風】[夏]:麦が熟れた黄金色の畑に吹く風
クスコ:ペルーの世界遺産の都市
昇格試験ポイント:「ケーナ」+「麦の風」効果の是非
名人10段 1つ前進→ 星1つ⭐
先生からの一言「シックな基地ですね!」
夏井先生「秘密基地ってお題から思わない方向にきたなと思ってそこはびっくりいたしましたね。この音を思うとペルーの大地が見えてくるようなそんな気持ちになりますね。そして問題になるとすれば、風とあるから吹くがいるのかどうかっていうここの問題になってくるかと思いますね。ただこの句はこの吹くという動詞が捨て石のような働きと、本来なくてもいいんだけれども、あった方がケーナの音が風に乗って一緒に吹いてくるようなそういう感覚を私達にちゃんと伝えてくれるのでこれはあっても損はしないというものでしたね。」
壮大な句ですね~。
ふと思ったんですけど、森口さんも中田さんも実体験じゃないんですよね。想像で俳句を作るのって一般的にはどうなんでしょう。でもお題が決められてたら、経験を俳句にできないこともありますよね。架空のストーリーみたいなのを俳句にしてもいいってことでしょうか…?
次は藤本さんの句です。
FUJIWARA・藤本 「弟に 秘密の秘密基地 真夏」
”子供の頃、仲間同士で秘密基地を作り、メンバー以外に言わないとルールを決めた。友達に弟がいて、秘密基地に行くということを隠すのが大変だった”という句。
季語【真夏】[夏]
先生からの一言「季語の包容力」
夏井先生「お題の秘密基地=子供の遊び、その、みんなが考える類想を土台にして、ささやかな実感をここに入れるんですね、「弟に」「秘密の」という風に。ここらへんが上手いもんでしたね、さすがですね。そして、結構音数を使ってしまってるわけですよね。残り3音しかない。3音しかない季語で何を持ってくるかっていうのは結構悩まれたんじゃないかなと思います。その中で悪くない選択でしたね、この大きな季語。特に真夏の”真”が必要なんですよね音数だけじゃなく意味の上でも。真夏の暑さですとか、それから夏の青い空、入道雲、夏草の匂いみたいなのもしてくるような気がしますね。この季語の中にそれらが全部ぎゅーっとつまっていると。なんかやっと調子取り戻してくれたなーと、ほっといたしました。」
藤本さん、やっと調子を取り戻したって言われてなんだか色々考えさせられますね😅
テレビに出ることにやっとぎこちなさがなくなったのかな?💧
”秘密の秘密基地”いいですね~。
最後は特別永世名人、梅沢さんの俳句です。
梅沢富美男 「少年の 空蝉残る 秘密基地」
”子供の頃遊んでいたが誰も来なくなった秘密基地。少年が大人になっていく過程が、秘密基地に残っている抜け殻と重なる”という句。
藤本さんが少年と秘密基地がベタ過ぎないかと言って梅沢さんが怒っていました😅
季語【空蝉】[夏]:蝉の抜け殻
先生からの一言「発想はベタだけどね」
梅沢さんが秘密基地を1回もスラっと言えないと浜ちゃんにツッコまれていて面白かったです🤣
夏井先生「秘密基地で少年がベタであるってところは私も全く同感です。それは「秘密基地で弟と遊んでる」がベタなのとかなり近いくらいベタだと思います。」
藤本さん「自分の句を否定してたみたいなところあるんですね💦」
夏井先生「でも、永世名人2人がやったのは、ささやかな工夫をちょいと盛ると、技なんですね。そしてこっちの方は”少年の空蝉”という風にこの空蝉に性格づけをしているわけです。少年が拾ってきた空蝉とか、少年が気に入っていた空蝉、少年が大切にしていた空蝉という風に性格づけをしていると。そして空蝉がそれだけが残ってもう子ども達、少年たちはどこにもいないと、この秘密基地はかつての少年たちが集まって遊んでいた場所だという時間経過がここでぐっと入り込んでくるんですね。そして少年は、この空蝉に例えられているのではないかと。蝉の抜け殻が少年が大人になった後のイメージを象徴していると。たくさんの少年たちが成長して空蝉になって今はここにいない、あるのは空蝉、蝉の殻だけがあると。印象的な光景をおっちゃんは描こうとしたのです。そういう意味で今回の永世名人お2人は上手くオリジナリティー、リアリティーを乗っけたと、実力を褒めないといけないと」
夏井先生の解説を聞くとよりドラマチックになりますね!
永世名人2人とも秘密基地という凡人になりそうな難しいお題でオリジナリティーを出せてさすがでした😆
今回は降格が2人も…😣
浜ちゃんが結果の紙をひっくり返して、”降格”の文字が見えるとびっくりしちゃいます😓
次回は8月8日です。
テーマの「秘密基地」からダンボールハウスを🏠
白段ボールで日本製です。
組み立て時間は30-40分です。