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【プレバト!!俳句】8月22日<後編>|詳しい解説&感想まとめ

プレバト!!

8月22日放送『プレバト!!』俳句の詳しい解説です。
今回は名人・特待生一斉査定です。

前編はこちら👇

テーマは「幼少期の写真」です。

水野真紀 「クラゲ刺す 男言葉の 課長の娘」

”父親が忙しく夏休みは8月の終わりにしか海に行けなかったので、クラゲに刺されまくった。その時、男言葉でクラゲを追い払っていた”という句。
季語【クラゲ】[夏]
昇格試験ポイント:「男言葉の課長の娘」のニュアンスの是非
特待生5級 現状維持
先生からの一言「もっと明確に!」

夏井先生「明確に書くというのはどういう効果があるかって言うと、意味はもちろんなんですけれども、映像がくっきり浮かぶかどうかそこも大事なところになりますね。一番問題なのはこの「男言葉の」って課長にいく流れでしょうかね。「男言葉の」が課長に直接かかるのか課長の娘というこのかたまりにかかるのか、これが明確ではないってことですね。えーまず、刺されているということを書いちゃいましょうか。「刺されたる」ってやったらこれで刺された側だってわかりますね。”刺されたるクラゲ”ここで男言葉の代わりにこんな動詞どうですかそのクラゲを罵っていると『刺されたる クラゲ罵る 課長の娘』と。こういう風にすると「課長の娘」をひとかたまりに読んでもらえる可能性は高くなりますよね。とはいえですねこういう正直なエピソードをそれをそのまんま書くというのは俳句にとってとても大事なスタンスですからこの調子でいきましょう」

結局、おもしろい実体験が最強な感じがしますね。
”男言葉”のがどこにかかるかは、ま、わかりますけどね💧勘違いされるかもしれないからその原因をなるべく消さないといけないってことでしょうね。

続いては、春風亭昇吉さん。

春風亭昇吉 「父と子の 季節短し 晩夏光」

”アルバムの父が若いころの写真を見て、自分が子供と接して色々世話をしていると父と子の時間は意外と短いのではないか”という句。
ジュニアさんが”晩夏光”が季語なのに”季節”を入れていいのか…と言っていました。
季語【晩夏光】[夏]:夏の終わりの衰えを感じる光
昇格試験ポイント:中七「季節短し」の是非
特待生4級 1ランク昇格→ 特待生3級
先生からの一言「果敢なチャレンジ!」

夏井先生「さっきジュニアさんの指摘にもありましたけれどもこの”季節”という言葉ですよね。普通こういうのを俳句の中に取り込むとだいたい失敗しますよ。別に季語が入ってるはずだからそれに対してわざわざ季節という言葉を必要とするかどうかって、もう9割は失敗すると思います。しかし、この句の場合この季節はどういう意味を言ってるかったいうと人生における父と子としての時間を十分に楽しむ、そういう時間というのは人生の中の一つの季節としてとても短いとこういうことをおっしゃりたいわけですね。そうですね。だとすれば人生の移り変わりというそういう意味合いに変わっていると、それはまことに短いものだよってここで詠嘆するわけですね。そしてこの最後の晩夏光、この選んだ季語も言いたいことに対してちゃんと寄り添っております。夏の終わりというちょっと傾きかけた寂しげな光になりますから親子の人生の中での時間というのはほんとに夏が過ぎていくようにあっという間に終わるんだな、意図はちゃんと明確に表現できていると、そう判断すべきかなと思います」
浜ちゃん「これ先生直しは」
夏井先生「これは下手に直せません」
浜ちゃん「どうですか、やっぱ自分が思った通り書けたんで…」
春風亭昇吉さん「先生のちょっと長かったですけど解説がすごい沁みました」
浜ちゃん「長かったってイジってるのかな」
春風亭昇吉さん「ちょっと尺大丈夫かなって💧」

いや、長かったって…別に特別長くないし😵モヤっときたので次行きます💨

続いて的場浩司さん。

的場浩司 「波飛沫 母笑みて抱く 裸の子」

”母が優しい笑顔で自分を見ている写真があって思い入れが強いのと、「母」と「裸の子」が入っているのがもしかしたらくどくも感じるのかもしれないが自分が見て書いたものなのであえてくどさを残した”という句。
季語【】[夏]
昇格試験ポイント:「母笑みて抱く 裸の子」の表現の是非
特待生3級 現状維持
先生からの一言「両方入れるのは難しい」

夏井先生「んー、明らかに母と子2つはいらないなというのが正直な実感なんですよね。例えば母が無かったとしても「笑みて抱く裸の子」って言ったら父か母に違いないってのは想像できるのでね、そういう方向で直す気満々でいたんですけれども、今あなたのお話を聞くと母と子2つ入れるというところにあなたの思い入れが強くあるっていうことですよね。」
的場さん「そうです」
夏井先生「だとしたら自分のその思いを曲げる必要はないですね。言葉の方をあなたの思いに寄せた方がいいと思います。両方入れます。まず、そうなったらどっか外さないといけないですよね。母から行って笑みてなくても笑んでるでしょう、たぶんね。ここで怒ってたりしないと思いますから。”母の抱く裸子”で。これで季語になります。”母の抱く裸子は”ここであなたを強調するんです。この母の抱いている裸子はまさに私であるよと、「ぞ」で強調しちゃうの。『母の抱く 裸子は吾ぞ 波飛沫』とこういう風に来るわけですね。最後に波飛沫がボーンとくると、この映像もちゃんと印象的に残るでしょ。あなたの思いがあれば言葉はいくらでも添わせることができますから、自分の意思を曲げてはいけません」
的場さん「おっす」
浜ちゃん「いやこれはジュニアさんがまた使うな~」
ジュニアさん「吾ぞ~」🤣

夏井先生の添削すごいですね。的場さんのお母さんへの思いの強さをちゃんと表現してて。お母さんのことめちゃくちゃ好きなのが表れてます。
ジュニアさんがいつかこのフレーズを使う時は来るのでしょうか😙

次は武田鉄矢さん。

武田鉄矢 「夏シャツの よごれそれぞれ 昭和の子」

”夏休みに遊んでる子ども達みんなそれぞれ汚い。その汚さの個性が未来を予見しているような、それぞれ違う場所が汚れている様子を表現した”という句。
季語【夏シャツ】[夏]
昇格試験ポイント:中七「それぞれ」という表現の是非
特待生3級 1ランク昇格→ 特待生2級
先生からの一言「果敢なチャレンジ パート2」

夏井先生「これもねー、俳句のなかに”それぞれ”のような言葉ですね、これ取り込むとね、だいたい焦点がバラバラなるというか、散漫になってだいたい失敗するんですね。でもなぜ失敗してないかっていうと頭の方、”夏シャツのよごれ”が”それぞれ”なんだという風に映像をしっかりと提示しているんです。よごれがそれぞれあるよ、でさらに昭和の子の生い立ちとかこれから先の人生とかそういうものもひっくるめてそれぞれ健気に生きてきたと、そういう解釈にもちゃんとつながるんです。よくうまくここまで着地なさいましたね」

生き生きとした句ですね。武田さんは出版社から俳句を依頼されたそうで雑誌の表紙に掲載されてました。この番組がきっかけだとしたらすごい影響力ですね😆

次は森迫永依さんです。

森迫永依 「夕芒 祖母の黄ばんだ ひらがな帳」

”母が中国出身なので中国と日本を良く行き来していた。祖母が中国語しか話せないので、作者と意思疎通をするためにひらがなを一生懸命勉強してくれていたので、ひらがな帳が黄ばんでいた”様子を詠んだ句。
季語【夕芒ゆうすすき】[秋]:夕暮れに広がる芒
昇格試験ポイント:上五に取り合わせた季語「夕芒」の是非
特待生2級 1ランク昇格→ 特待生1級
先生からの一言「季語選び頑張りましたね」
村上さんが季語が合っていると言っていました。さすが村上さん😊
森迫さんが村上さんのYouTubeを見て勉強になると言っていました。私も見てみます😆

夏井先生「えー何がいいか1つ目は、”黄ばんだ”って描写で表そうとしているところです。こういうことを言いたいときに往々にしてですね、おばあちゃんは頑張って勉強したとか努力したとか、そういうことをくだくだくだくだ書きたくなるものなんですね。でもそういうことを書かないでその物をぽんと描写して提示するだけ、もうこれでおばあちゃんというものがちゃんと見えてくると、そしてそれをこの夕芒という季語いいの見つけてきましたよね。夕暮れの日差しとか色合いとか夕風に揺れる芒がずっと広がって遥々としたそんな思い、それが作者のこの回想にゆっくりと寄り添ってくれる、これができるようになったら森迫さんひと山超えたなと安心をしましたよ」

夕芒の効果がすごい出てる気がします。直近5回中4回が現状維持でスランプを感じていた森迫さんですが、今年一番うれしいと言っていてホントよかったです😊

次は村上さんの句です。

フルーツポンチ・村上 「星明かりほどの 重さの子に 汗疹」

”今年、子供が産まれ、子供を抱いていると本当に頼りない重さで、星明かりくらいの重さだと例えた。その頼りない重さの子に汗疹がある”という句。
ジュニアさんが絶賛してました😊
季語【汗疹あせも】[夏]
先生からの一言「ファンタジーとリアリティー」

夏井先生「もう一読してね、寝てた赤ちゃんがちょっとぐずって目を覚ましたのかななんて思いましたね。本当、命ってこういう頼りない重さなんだ、それを”星明りほどの”ってなかなか書けないですよね、これは。最後この季語を良く持ってきました、よく見つけましたね。夏の季語の汗疹っていうのはだいたい困った症状が出ましたねってそういう生活の句として詠まれていきがちなんですよね。でもこういう流れでこれが出てくるとこの汗疹というのはこれから生き抜いていく力というか、生きているからこそできるものであるよと、この汗疹をこう親としては慈しみながらお世話をしながら一緒に生きていくと、育てていくと。もう親子の愛とリアリティー。もう結婚して子供できてから句まで良くなってきましたね、この人」

星明りほどの…そうそう出ない言葉ですよね~。めちゃロマンチックです😊汗疹が生きているからこその表現、まさにファンタジーとリアリティーですね✨先生がすごい褒めててうれしかったです😆

最後はジュニアさんの俳句です。

千原ジュニア 「祖父に兄 縛られし この柿の木や」

”兄のせいじさんがいたずらしてお爺ちゃんに木に縛られてよく泣いていた”という句。
何とかしてあげたいけど、ほどくのもいけないかと思いポッキーを食べさせていたそうです。そっちのエピソードの方が強すぎる🤣 
先生からの一言「ストーリーよりも映像を」

夏井先生「エピソードとしては面白いですね。最後のあのポッキー食べさすってあのエピソードもなんか俳句にならないかなと思うくらい面白いですよね。この句の一番の問題点は何かというと、実は柿の木っていう書き方では季語にはならないんです。これよく俳句長年やってる人もうっかりしがちな所なので、ここはひとつ押さえておきましょうね。柿だけだと実の事になるんですね。柿だけだとね。でも「柿の木」ってやったらこれは季語ではないという位置づけになってしまう、となったら、他にもう1個季語が必要になる。ここがまあ1番の問題点。じゃあもう1つ季語を入れないといけないとなると、こっち(上五中七)をちょっとコンパクトに減らさないとだめですね。やってみますね。ここをシンプルに”祖父が兄縛りし”で、”この”を外せばいいです。大分節約できました。”祖父が兄縛りし柿の木や”あとここにちょこっときます。”や”を諦めて下さったら”柿の木の夕焼ゆやけ”ぐらいにすると映像になってくるでしょ。『祖父が兄 縛りし柿の木の 夕焼ゆやけ』もうちょっと心情に寄せたかったら、”祖父が兄縛りし柿の木よ”詠嘆して”秋よ”とかって大きな季語で詠嘆をすると。こうすると追憶の要素、回想する要素が増えてきますね」
🖌添削後『祖父が兄 縛りし柿の木よ 秋よ
ジュニアさん「いや~柿の木が季語だと完全に思い込んでので」

なんと、柿は季語だけど、柿の木は季語ではないと💧季語がない俳句になってしまっていたとは😓
季語になるのは、柿・干し柿・吊し柿などだそうです。
まぁ、たしかに木だと季節がいつかわからないですね。花とか実とかじゃないし。あ、調べたら枯木は冬の季語らしいです。
先生からの解説を聞いているときのジュニアさんがめちゃ悔しそうでした💦

次回は8月29日です。

水野さんのクラゲの句からこちら。
クラゲとイルミネーションに癒されますね~😌
サイズは、W200・D60・H137(mm)です。