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【プレバト!!俳句】9月12日<後編>|詳しい解説&感想まとめ【金秋戦】

プレバト!!

9月12日放送の『プレバト!!金秋戦』の予選の詳しい解説です。

前編はこちら👇

テーマは、Aブロックが「1人めし」、Bブロックが「一人暮らし」です。

Aブロックは、

こがけんさん、立川志らくさん、馬場典子さん、的場浩司さん、水野真紀さん

テレビで発表された順にいきます。

立川志らく 「生きる為に 飯を喰う 外は蛍」 2位

”若い頃、農家のおじさんに会った時に夜、質素なご飯を生きる為だけに食べてる姿が目に入って、外には蛍が舞っていてその対比が美しかった”という句。
季語【】[夏]
中田喜子さんが”を”を取ればいい、その方がもっとカッコ良くなったと言っていました。

夏井先生「この”生きる為に飯を喰う”ってこのフレーズですね、これ当たり前といえば本当に当たり前のフレーズなんですけれども、ここ(外は蛍)の着地でね、一気に詩にしてしまうんですよね。蛍が飛んでいるような場所で、生きる為のめしをむさぼり食っていると、もう光景、場面、そこの人物が全部立ち上がってくるでしょ。ここらへん本当に上手いと思いますね。そして、ちょっと惜しいなと思ったのがたった1点あるんです。私はね、中田さんに賛成するな~。足して17にしたかったというその意図はすっごくわかるんですが、もう自由律、まぁ作者がわかってですけれども「自由律の志らく」さんですから、ここはもう一歩踏み込んでいいと思いますよ。『生きる為に 飯喰う 外は蛍』力が入ってきませんか?これやってたらまた勝負が微妙に変わってたと思うんですけどね~。惜しかったですねこれは~」

中田さんすごい!
この、他のゲストの方の指摘が夏井先生の意見とぴったり合っていると、なぜかうれしくなります😆

続いては、3位の発表です。

こがけん 「ソーキ煮の とろ火見ている 夜長かな」 3位

”ソーキを煮つけるのがすごく好きで、ソーキ煮はとろ火で7時間くらい煮ないといけない。火から離れるのは危ないので、とろ火で煮ているのを見守りながら別の作業をしている”という句。
季語【夜長】[秋]
ソーキ:豚の骨つきアバラ肉
中田さんが「一人めし」感が薄いかなと言っていました。

夏井先生「夜長という季語に、まぁ火を取り合わせてくるという句、ま、あると言えば確かにあるんですけれども、このソーキ煮という物を持ってきたところに、リアリティーというのはちゃんとあると思いますね。そしてそれを煮るとろ火を見ている、この”見ている”ってところもちょっとこう、冗長な言い方ではあるんですが、実はこの”夜長”が出てきたときに、時間経過を表現する、そういう言葉だなっていう意図がちゃんとわかりますから、けしてこれもマイナス点にはならない。そして最後、夜長という季語をしみじみと詠嘆をしていると。ここら辺の使い方うまいもんですね。この人の吸収率というのは本当に見事だなあと思っております。特段直さないといけない所も正直ないんです。でもなぜ3位にしないといけなかったかっていうと、これも中田さんのご意見に私は賛成をいたします。「一人めし」という所のテーマ性のささやかな減点で泣く泣く3位ということですね」

いや、続けて中田さんがすごすぎません?😅
やっぱり上級者は他の人の句の問題点がわかるんですね~。

次は4位の発表です。

水野真紀 「1人めし 半値太刀魚 喰むいざや」 4位

”近所のスーパーで夜に生鮮品が半額になるので、いつもは高い太刀魚を買って、刀のようにキラキラした太刀魚を焼いて食べるのが好き”という句です。
季語【太刀魚】[秋]
藤本さんが”半値太刀魚”の言葉のリズムがいいと言っていました。

夏井先生「目の付け所というのが面白いですよね。リアリティーあると思いますよ。”半値太刀魚”ってこの言葉がおもしろいっていうのも私も同感ですね。ただ、読み手として考えた時に、ここで”1人めし”でもう食べてるんだなって思うと、半値が出てきてあら、お買い物かしらと思うと、ここ(喰む)でもう一回食べるというのが出てくる、これでちょっと損をしているかなっていう風には思いましたね。どういう風にやれるか、例えば買う所から”半値なる太刀魚”ってやったら今買ったような所がスルっと浮かびますね。そっからですこっち(一人)。漢字で書くと漢字が上からつながってしまうので、表記の上でここ”ひとり”とやっときましょう。『半値なる 太刀魚ひとり 喰むいざや』ってやってもいいし、それから、『半値なる 太刀魚ひとり いざ喰まん』という風に意思を持ってくる、ここのいざ食べよう!っていうのが呼応してくるので、これがひょっとしたらあなたの表現したい空気に近いのかなとは思いますね。でもとてもいい取材能力だと思いますよ」

水野さん4位多くないですか?💧
一番低くないけど上にもいけないイメージ(すみません💦)
先生に大絶賛される日を楽しみにしてます!

次は最下位と1位の発表です!

馬場典子 「夜半の秋 ひとり味わう アルファ米」 5位

”一人暮らしで自分の為にご飯を食べるのがおっくうでご飯を炊くのも面倒な時は非常食用のアルファ米に頼る。侘しい寂しいようでいて色々と種類があり楽しんでいる”という句。
季語【夜半の秋】[秋]

夏井先生「季語とね、アルファ米ってこれ、取り合わしてくる取り合わせが面白いと思いますね。もったいないのの1番はここです(味わう)」
藤本さん「味わう」
夏井先生「その通り!今誰かが言った」
藤本さん「僕です!」
夏井先生「これです、はい。これですね、これがもったいないんです。これこそ書かない方が得するんです。なぜかと言うと、どういう気持ちでどんな夜にどんな私、どんなあなたがこれを味わったのかっていうのが書けなくなってしまうんですね。”味わう”、4音もありますから。これさえ外せば色々やれるんですよ。秋と夜で”秋夜”、これをやると”ひとり秋夜のアルファ米”ってこっち来るのね。ここにね、何かあなたのその日のことが書けるんです。例えば、疲労困憊で帰ってきたその夜ですよってやったら『困憊や 一人秋夜の アルファ米』なんかすごい悲しいことがあって心が傷ついた『傷心や 一人秋夜の アルファ米』あるいは”ひとり”も外して「今日私すっごい頑張った」と、もうご飯作りたくないけどすっごい頑張ってっていうなら口語で思い切って『お疲れ様アタシ 秋夜の アルファ米』いいでしょ。まだ色々できるわけですから、ここを楽しんでこその俳句なんですよ」

”お疲れ様アタシ”って俳句に入れるの勇気いるな~💧
でもすごい昭和のOL味を感じる😙(あ、OLって死語ですよね?)

Aブロック最後は1位の的場浩司さんです。

的場浩司 「削げし頬 月下貪る パンの耳」 1位

”役者になって東京に出てきて一人暮らしをした時、お金が本当になくてパンの耳を買って公園で貪るように食べていた”という句。
季語【月下】[秋]

夏井先生「これはね~映画のワンシーンみたいな感じはしますけれどもね、生々しいその体験がこっちに流れ込んできましたね。まずは”削げし頬”、この頬のアップから始まります。で、なぜ削げているのかってことを普通語りたくなってしまうんですが、語らなくていいことがわかっているんですね。削げている頬である、その映像事実だけを描写すれば伝わると。この動詞の選び方も良かったですね。この「削げる」という言葉と「貪る」って言葉ちゃんと付かず離れずで響き合いますね。で、何を貪っているのか、パンの耳、あのこんな袋にいっぱい入って安く売ってましたもんね。最後、パンの耳という物を提示するだけ、それ以上のことは一切言わなくていい。これも俳句の骨法というのが分かった人だからできるんだと思います。もう少し褒めさしてください。さりげないことなんですが、頬というのは人の部位、耳はパンの部分だけど、ここで人の部位を表すようなものがさりげなく置いてある、ここでも言葉の響き合いっていうのがあるんです。ここ(削げし)とここ(貪る)で響き合って、ここ(頬)とここ(耳)で響き合っていると。こういう所も一句の中にぎゅうっと入っているんですね。この句だれだろうと思ってたらあなただったんですね。お見事でした!」

いやいや…この句、見てすぐ的場さんぽいと思いますけど💧
夏井先生ベタ褒めでしたね😆
ちょっと調べてみたら秋の季語で月に関するものが、すごいたくさんあってびっくりしました。使い分けるの大変そう…。

Aブロック的場浩司さんが決勝進出決定です!

Bブロックは、

皆藤愛子さん、柴田理恵さん、春風亭昇吉さん、森口瑤子さん、森迫永依さん

😙Bブロック最初の順位を発表の時。。。
清水アナ「では何位から見ていきましょうか」
浜ちゃん「いや~」(親指を噛みながら悩む浜ちゃん)藤本さん「いや~」
浜ちゃん「フジモン何位がいい?」
藤本さん「え~・・・1位いきます!?これ」
こがけんさん「あります!?そんなこと」
藤本さん「1位いきます!?いきなり」
浜ちゃん「全然おもんないやん!そんなことしたら!」
藤本さん「いや見たいですもん。先に1位」
こがけんさん「やめときましょうって!」

とにかく浜ちゃんが楽しそうよかったです😆

柴田理恵 「今日よりは ひとり分なり 秋の風」 3位

”昨日までは全部二人分だった。洗濯物もゴミもご飯の量も。でも、何かがあって今日からはたった一人、寂しいような清々しいような気持ち”を表した句。
季語【秋の風】[秋]
藤本さんが独り身の話でイジられていました😅

夏井先生「大変シンプルな書き方なんですけれども、心に染みる句ですよね。丁寧に書いてらっしゃるんですね。特にあの”よりは”っていうここの表現に苦心なさったかもしれませんけれども、この”今日よりは”って言い方で決してあの亡くなったとかそういう別れではなくて、急に同居人がいなくなったとか離婚してサバサバしたとか、なんかそういう方向の”今日よりは”なのだろうなというのがこの言い方でちゃんと伝わってくるんですよね。そしてもう1ついいのは、ここ”なり”と、言い切ったところですね。”今日よりはひとり分なり”、炊くご飯も一人分、洗濯物も一人分、出すゴミも一人分、「あ~せいせいした」というそういう気分をここの”なり”で表現してるんですが、でもここですよ、”秋の風”という季語にそっから後を全部託す、そうすると清々はしてるんだけどやはりどこか寂しいような、自分の体の一部がちょっと無くなっているかのような、言いたいことは全部季語に託すと、これが俳句というものなのです」

いい句ですね。少し寂しげだけどスカっとして。
柴田さん5年ぶりなのに、優勝経験者が3人もいる中、3位ってすごいです!😊

次は4位です。

皆藤愛子 「のろのろと 包帯広げ 干す秋夜」 4位

”つい最近、骨折をしてしまって毎日包帯を洗っている。なかなか足が動かないのでノロノロしながら「誰かいたらな」と思っている”という句。
季語【秋夜】[秋]
中田さんは『とても良く詠まれているが、一人暮らしにしてはちょっと弱かったかな』と、藤本さんは『一人暮らしもケガをしたことも書いてないのに状況がわかる良い句だ』と言ってました。

夏井先生「今、名人お2人が語ってくださったことが全部この句に当てはまると思いますね。この包帯というものを干してるわけですよね。何かケガをなさって、自分で洗ってらっしゃると。で、一人とかって言葉は全然書いてないけれども、”のろのろ”とか”広げ干す”と私はつなげて読みましたけれども、”広げ干す”という動作をやっている。ああ、ひょっとしたら一人暮らしで心細いのかもしれないと、そういう風に読んで欲しいという流れを一生懸命作ってらっしゃる。そうなった時に最後季語の音数がこれだけしか、”秋夜”、3音しかないのでここも苦心なさったと思うんですが、いい選択だと思いますよ、この流れの中では。心地良いんだけれども、やっぱり寂しいという、そういう頼りない感じもこの季語の中に入ってますよね。で、じゃあ、なんでこの順位にせざるを得なかったかっていうと、これ、読みようによっては介護をなさっているという、そういう読みも可能性としてはやっぱりあるんですよね。どこにも一人という風には書いてない、そういう点でこれはこれでいい句なんですけれども、テーマ性という所でちょっとだけ損をしたかなと」

なるほど、作者が誰かの面倒を見てる句の可能性もあるわけですね。
この”のろのろ”が疲れ切ってる様子とか、自分が老いている身で誰かを介護や看病しているとか受け取れますね。おもしろいです!

さて、次は2位です。

森口瑤子 「空の巣症候群の ような夜長」 2位

”数年前に娘が一人暮らしをするようになった時に空の巣症候群のような状態になった。同じような夜を持て余すような体験を一人暮らしを始めた時もなったと思い出した”という句。
季語【夜長】[秋]
藤本さんが季語を比喩するのはすごいと。
志らくさんが2位以下が誰が選ばれるかばかり気にしてました😅

夏井先生「まさに大胆な比喩ですよね。夜長という季語を残りのフレーズ全部で比喩しているだけなんです。でもそこに独自性・真実味というのががちゃんと入ってますから、こんなのやらかすの誰だろう?と思って楽しみにしておりましたが森口さんだったんですね。しかも、テーマの一人暮らしというものに対して、子供が一人暮らしした後の親の気持ちっていうそういう切り取り方、発想で来ると本当に思ってなかったので確かにそれもテーマの中の1つだなという風に思います。喪失体験、寂しさ、夜長と言われた瞬間に、その作者からのその夜長をどっしりと読み手の側が心で受け止めるようなそんな一句だったですね。面白いことやってくれますね」

森口さんの句はいつも個性的ですよね。夏井先生が好きそうな句だなと思いました。
次回、2位以下から2名選ばれますが、森口さん選ばれそう~😆

春風亭昇吉 「母からの手紙 無月の段ボール」 5位

”定期的に岡山の実家から仕送りが送られてきており、段ボールの一番上に手紙が入っている”という句。
季語【無月】[秋]:中秋の名月の夜に雲が広がり月が見えないこと
藤本さんが”母からの手紙”が凡人だと言ってました。

夏井先生「決して悪い句じゃないんですよ、昇吉さん。季語の使い方はとても良いですね。しかもこの位置に季語を持ってくる、ただの段ボールではなくその日届いた日がまさに無月の段ボールであったよと。中秋の名月の日だけれども月が出ていないと、ひょっとすると故郷の母のところには、綺麗な中秋の満月が出ているのかもしれない。そしてその手紙を読み始めると。そういうドラマ、物語がこの句の中にキュッと入っています。季語も生かしてありますし、一人暮らしというテーマもしっかりと押さえてますね。ただ故郷のお母さんから何か荷物が来る、そこに手紙が入っていると、そういう句はかなり俳句では出てくるんですね。さあ順位ってなったら、最後のこの類想感というのが邪魔をしてしまったと、そういうことになりますね。ですからこの句に関しても、直さないといけないという訳ではないのです」
春風亭昇吉「あ、他の人が考えるかもしれないということも考えなきゃいけないんすね?」
夏井先生「俳句において、類想、類句というのは戦うべき一番大きな壁なんです。今の発言でマイナス1ポイント」

・・・は?今さら?何を当たり前のことを・・・。今まで他の人の俳句の時、話聞いてなかったのかな?それともわざとこんな言い方してるの?とイラっ💢としてしまいました😅
夏井先生が怒るのも無理ないわ~。

Bグロック1位は森迫永依さんです。

森迫永依 「薄めたシャンプー 朝冷のワンルーム」 1位

”一人暮らしを始めたばかりの頃、親がシャンプーを買ってきてくれるわけではないので、残りの数を管理できなくて使おうと思ったらシャンプーがないので薄めて使った。薄めた水の冷たさとワンルームの床の冷たさを季語に込めてみた”という句。
季語【朝冷】[秋]:秋の朝に肌の冷たさを感じること

夏井先生「まさに一人暮らしのあるある、リアリティーですね。で、これこそ、”一人”と書いてないんだけど、一人暮らしに違いないなっていうのをちゃんと言葉の裏っかわに見せてくれてますよね。そこが上手いと思います。まずは薄めた、何を薄めるか、シャンプーを薄めている、ああなるほど、残りがスカスカでなかったからちょっと薄めてやってるんだと、体験したことある人はあの時のちょっと情けないような気持ちをみんな実感いたしますよね。そして次ここでカット切り替わって”朝冷”この季語も良かったですね。”朝寒”という季語もあるんですが、朝寒の方になると寒さがちょっと冬の方に近づくんですね。朝冷というのは秋のまん中当たりのちょっと冷えてきたと、で、特にこの朝の一文字の情報大事ですよね。出かける前、仕事行く前に朝シャンをしているのに違いない、そこで慌てているのに違いない。で、ここから、”朝冷のワンルーム”でこっちの方に来るので、慌ててシャンプーして薄いのでシャンプーして、拭いて乾かして着替えてさあ、出勤しなくっちゃという朝の慌ただしい時間がここにあるに違いない、それもちゃんと想像させます。そして8音と10音、結果的には口語の字余りの句になりますけれども、それがこの句の内容とちゃんと手を取り合っている、見合っておりますから、その判断も良し!といたしましょう」

季語【朝寒】[秋]:晩秋に感じる朝の寒さ
あるあるのシチュエーションでも切り取り方がいいですね。字余りの句が内容に合ってます。
梅沢さんがいたら褒めてくれそう😊

Bブロックは全員直しなしでした。すごい❕✨

Bブロック森迫永依さんが決勝進出決定しました!

次回は9月19日です。
Cブロックも楽しみです!😆

的場さんの俳句の「パンの耳」からラスクを紹介😋
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