11月28日放送『プレバト!!』俳句の詳しい解説です。
前編はこちら👇
テーマは「撮影の休憩」です。
テレビで発表された順にいきます。
純名里沙 「チャルメラの 湯気立つ夜空 降る笑顔」 4位
”北海道の極寒の夜休憩で主演の中居正広さんがドラマの撮影中に屋台を呼んでくれた”という句。
季語【湯気】[冬]
ジュニアさんが湯気は季語だけどラーメンの湯気のことではないと言ってました。
夏井先生「一番の大きな問題は、今ジュニアさんの指摘ですね。この”湯気立つ”というこのかたまりが確かに冬の季語ではあるんですけれども、ストーブの上におやかん置いたりするでしょ?湯気立てるじゃないですか。あれがこの季語なんです。ですからラーメンの湯気はまったくそういう種類のものには当てはまらないと。まずこれチャルメラでもいいけれどもラーメンって率直に書いた方がいいですよね。おいしかったんですもんね。ですからまずこれを消しましょう。ここにラーメンってそのまんま書くだけですね。そして今聞いてて屋台とかで振る舞ってくださった。ここに振る舞いって書くんです。どなたかが心を使って振る舞ってくださったと。そして問題のこれ、湯気立ててる場合じゃないのでこれ全然違いますね。(”湯気立つ”消す)別の季語入れないといけない。さらにもう1つ言うと”夜空”もどうでもいい話になってくる。(”夜空”消す)”ラーメンの振る舞い”、ここからですよ。笑顔振ってるじゃ場合じゃないです。(”降る笑顔”消す)極寒のロケっておっしゃいましたよね?”極寒”季語なんですよ。”極寒の”、でここで、最後にどういう場所か、”ロケ地”って入れるだけ。『ラーメンの振る舞い 極寒のロケ地』そうしたらあなたが言いたいことはぜ~んぶ入ってくるんだけど、ま、結果論「の」しか使えなかったというこういう話ですね」
”の”しか残らなかった…😭
やっぱり季語の意味をしっかり調べないといけないですね~。
あと、私が言うのもなんですけど、初心者の人が選びそうな言葉というか…。(すみません😅)
次は、3位です。
コットン・西村 「敵役と 輪になりすする 粕汁や」 3位
”揉めた演技の後に、敵味方関係なく騒ぎながらケータリングの粕汁をすすっている”という句。
季語【粕汁】[冬]
ジュニアさんが、プレバトあるある、粕汁はすするもんだからすするがいらない…と。
「すすらない人いる?に~し~む~ら~!」と松下さんのマネしてました🤣
番組の最初で西村さんが松下さんにやってもらってたので、ジュニアさんも絶対やりたくなったんでしょ?😙
夏井先生「ジュニアさんやっぱさすがですね。だてに永世名人やってないですもんね。粕汁と出てくれば「すする」はなくてもいいでしょっていう、俳句はたった17音しかないので、情報が重なるところは極力外していくと。そしてもう1つ、下五の”や”というこれはね、バランス取りにくくてとっても難しい型なんです。俳句の筋肉がそんなない人がやるとだいたい失敗する。なんで今これロケの最中なのに輪になって粕汁食ってんのかっていう理由をほのめかすこともできるんです。例えばお天気を待つときに、みんな晴れ待ちとか言うじゃないですか。晴れを待ってるって。『敵役と 輪になり 晴れ待ちの粕汁』こういう風に持っていくと、あ、もうちょっとしたらこの雨雲小一時間でいなくなるらしいから、今のうちにみんなちょっと体温めておきましょうかという、心遣いの粕汁に違いないなと、想像をしてくれますよね」
普通の休憩時間を晴れ待ちってことにすると、雰囲気が良くなるし、読者に色んな想像をさせることができますね。
…でも、こういう風に俳句を変えるのはあるあるなんですかね?ちょっと話を盛るというか…。
あったことそのままを詠んでカッコよくなる俳句はやっぱりいいなと思ってしまいます😅
次は5位の石井正則さんです。
石井さんはNHKで俳句の番組を1年間やっていたそうでかなり落ち込んでました😅
石井正則 「江戸を出て 髷で珈琲 時雨傘」 5位
”撮影の休憩時間が短くて髷のままでセットを出て近くの喫茶店でコーヒーを飲んでいる”という句。
季語【時雨傘】[冬]
的場さんが『コーヒー飲んでるのに時雨傘ってどういうことだろう』、ジュニアさんが『お題の写真を見て俳句を見ればどういうことかわからんでもないが、文字だけみたらタイムスリップしたのか?』と🤣
夏井先生「俳句というのはここに出された文字が全てなんですね。ですから、あの兼題写真を見てない人がいきなりこれを出されたら、え!?って思うんですよ。いきなり江戸を出てです。江戸というのは昔の地名ですから、タイムスリップの句なんだってみんなやっぱり思いますよ。(ここで”世にも奇妙”の音楽が🤣)で、ここでコーヒー飲んでんのになぜか時雨の傘差している。この人はいったいどこで何をやってるんだろうと、読者の頭がちんぷんかんぷんになってしまうと。この”江戸を出て”が一番混乱させるので」
浜ちゃん「消しましょう消しましょう」
夏井先生「これはね、これはやめましょう。これは大事な止めポイントですね。でもこっから後は案外使えるんです。”で”じゃなくて、”で”っていうのはとっても散文的な助詞なので、これも要注意なんですが、あなたもお話の中で、髷のままと。髷のまんまでと書くだけで、江戸を出てとか書かなくても大丈夫。髷のまま珈琲飲みに出るんですね?スタジオね?『髷のまま 珈琲飲みに 出て時雨』って。こういう風に書くだけでいいんです。可能性のある最下位才能なしということにはなります」
ここで、石井さんが「可能性のある最下位?」とちょっとうれしそうな顔を😊
純名さんが戸惑いながら自分の顔を指さして「え、可能性は…ど…ない…」に対して、夏井先生が「4位の方はね、凡人を目指すしかないですね」と😅
「5位の方は、才能アリはちょっと工夫したらすぐ手が届きます。4位の方はひとまず着実に凡人に行ってください」って🤣
石井さんよかったですね!次、期待してます!✨
さて、次は2位、松下さんの句です😊
松下由樹 「足袋重ね 自製みそ汁 暖を取る」 2位
”京都の時代劇の撮影でとても寒くて足袋を重ねた履いた。コロナ禍以降は味噌汁をスープジャーに入れて持って行って温まっている”という句。
季語【足袋】[冬]:防寒用の履物
夏井先生「自製であるお味噌汁があって、足袋を重ねて履いている。素材というのがリアルであると、そういう所がいいですよね。不要な言葉が1つだけあると。”暖を取る”と書かなくても十分暖を取るという状況にあるということです。これがいらないということになります。(”暖を取る”消す)で、これが撮影の現場であるということをわかるような言葉を補足すればいいと、そういう話になります。まず手元のみそ汁から行った方がいいかなと思うんですが、自製という所にこだわるのであればそれでもいいんですが、今、スープジャーという言葉が出てきましたね。ジャーを借りましょうかね。”ジャーにみそ汁”ってちょっと字余りになりますが、上五字余りで置いて、そしてこっからですね。”足袋重ね履く”と、ここで履くという動詞を入れます。”ジャーにみそ汁足袋重ね履く”、ここでまさにロケ現場ですよと。『ジャーにみそ汁 足袋重ね履く ロケ現場』上五を字余りにした場合は、七・五で調べを取り戻すと。これが俳句の定石の1つではあります」
ジャーの方がリアルな感じが出るし、寒さが伝わる句ですね😊
でもかなり上五の字余りが初心者には勇気いる…💧
次は1位の野村さんです。
野村麻純 「缶コーヒー 壺装束の 日向ぼこ」 1位
”大河ドラマの休憩時間に壺装束の衣装のまま平安時代にはない缶コーヒーを飲んでロケで冷えた体を温めている”という句。
季語【日向ぼこ】[冬]
壺装束:平安時代の公家や武家夫人の外出姿
夏井先生「今どきのことですからこの壺装束というのを観光のコースで楽しむみたいな、そういうのもあるようですけれども、でもね、どこにもロケとか撮影とか書いてないけれども、コーヒー片手に日向ぼっこしてるってなったら、これは観光の女の子達がキャーキャー言ってるような場面じゃないと。ちゃんと想像させてくれますね。でしかもあの、壺装束っていうこのとてもリアルに具体的に書いたところも良かったですよね。缶コーヒーから始まって壺装束に行って、一体どっちの方向にこの句は着地するのだろうと思うと、日向ぼこという季語で全てを言う、季語にちゃんと全てを託して俳句として押し出すと。お見事だったですよ」
下五の季語に全てを託すってパターンって基本形の1つですよね?
今度かっこいい5文字の季語調べてみようかな🤩
野村さんの安定感すごいですね!近いうち特待生になるんじゃないですか?😊
次は的場さんの昇格試験です。
秋の金秋戦の優勝でスタジオの上の看板に載ってすごく喜んでました😆
死ぬまでに全部の看板に載ることが夢だと。できたらすごい!😊
的場浩司 「冴ゆる夜や 野の石拾う 老殺陣師」
”撮影の休憩をしていたら年配の殺陣師の方が、次に殺陣をやる場所を怪我をしないように石を拾って避けてくれていた。そこに一緒に参加した”という句。
季語【冴ゆ】[冬]:寒さが一層極まった様子
昇格試験ポイント:下五に「老殺陣師」を置いた効果の是非
特待生3級 1ランク昇格→ 特待生2級
ジュニアさんがむちゃくちゃいいと褒めていて、的場さんは俳句ゾーンに入っていると🤩
「五七五が止まって見えます」と言ってました🤣
夏井先生「かなりの情報量なんですけれどもこれを17音の中にしっかり入れ込んでくると。俳句というのは17音しかないので、どういう理由でなぜ拾っておりますかっていうことをグダグダ説明はできませんね。そのできない説明を、この”老殺陣師”という人物をポーンと置くことで読者に全部想像させると、この力がこの言葉にはあったわけです。演者さんたちがそこで怪我をしたり足元が不安定になったりしないように、そういう思いを持ってやってらっしゃるに違いないと。この人いつの間にこんな上手になったんだろうと」
調べたら「冴ゆる夜」が「冴ゆ」の傍題らしいです。”夜”以外にも”月”とか”風”とかでも季語らしく、すごいきれいな冬の季語ですね~。
「老殺陣師」って言葉がすごい効果的な句ですね~。私でも意味がすっとわかってうれしかったです。
さすが的場さん、ゾーンに入ってるだけある😆
最後はジュニアさんの俳句です。
千原ジュニア 「冬の暮 子役がくれる ガム硬し」
”子役の子が気を遣ってくれてガムをくれたのだが、寒くてガムがパキーンと割れた”という句。
季語【冬の暮】[冬]
先生からの一言「派手さはないけど…」
夏井先生「ロケ現場、撮影現場であるってことをどうやって伝えるかと。この句見ていただいたら”子役”というたったこの1語を入れるだけで、ああ、撮影現場あるいは舞台かもしれないと、そういう場所だということがわかりますよね。そして、一番褒めないといけないのは、このガムというものを提示した後の、”硬し”っていうここの描写なんです。で、例えば、子役がくれたガムうましって、甘しとかってやってもいいようなもんですが、硬しってやった瞬間にほんとにガムなのに噛んだらパリーンみたいな。でその、この描写が実は、こっちの季語(冬の暮)を補強して来ると。こういう風な仕掛けになってるんです。永世名人らしい一句だったと思いますよ」
ジュニアさんの句、「暮」と「くれる」って韻踏んでます?誰も言ってませんでしたが…。
最後、「硬し」がいいですね。「甘し」や「うまし」なら掲載決定になってなさそう~。
ガムくれた子役の子、俳句にしてもらってうれしいでしょうね😊
ジュニアさんは句集まで残り10句!!
あ…、村上さんとの差が…💦
今週、ま~た村上さんいないし🥺調べたら来週もいない!😨
は~さみし。
今回は、西村さんの時の、「下五を”や”で詠嘆するのはバランスが取りづらい」とか、松下さんの「上五を字余りにしたら中七下五は定型に」とか、俳句の細かいルールが知れてよかったです。
あと、ちょっと工夫すればうまくなる石井さんタイプの人と、着実に凡人を目指すしかない純名さんタイプの人ってやっぱり分かれるんだなって思いました😅私は確実に後者だな…。
次回は12月5日です。
ジュニアさんの俳句からこちら。
このガムの形なら寒くてもパリーンとはならないかな?😊
キシリトール100%の甘味料を使用。