7月11日放送『プレバト!!2024炎帝戦』後編①からの続きです。
3回に分けてます。
後編①はこちら👇
ファーストステージ3つ目のブロックは、
九州・沖縄ブロック
千原ジュニアさん、森迫永依さん、かたせ梨乃さん、瀧川鯉斗さん
テレビで発表された順にいきます。
かたせ梨乃 「始発待つ 素足ぶらぶら 大三東」 3位
”大三東の駅は日本で一番海が近い駅と言われていて、プラットフォームに腰かけて足をぶらぶらすると潮が飛んでくるくらい水が近い。綺麗な朝日を見て空気・潮・音を感じながら電車を待つ”という句。
季語【素足】[夏]
梅沢さんが大三東と聞いて島原だとわからなかったから3位になったんじゃないかなと言っていました。
夏井先生「私も大三東という地名ですね、知識がなかったので調べてみました。調べて、今語ってくださったような場所だなとわかると、この始発を待つという始発の時間の具体的に書いたところとか、それから素足をぶらぶらさせているという様子だとか、それがちゃんと一句として読み手の脳の中にちゃんと映像が生まれてくると。ここ大事なところで、地名を使う効果っていうのは、まず1つ目は誰でも知ってる地名、たとえば「富士山」とかやったみんな同じ光景を思い出しますよね。まだ、知名度が日本全国っていう風になってない場合は、例えばこの句によってこの大三東が知られるようになってくると、読み終わった瞬間の「おー!」っていうあの歓声がどんどん大きくなっていくという、そういうタイプの句ではあるんですね。あなたの句をきっかけに大三東が有名になってこの句も理解してくれる人が増えていくことを私は願っております」
かたせ梨乃さん大健闘ですね😆知られていない地名、言葉を使うのって調べてくれる人ならいいですけど、やっぱりちょっとリスキーですね。「何それ?」「どこそこ?」で終わる可能性ありますもんね。
続いては、4位の発表です。
瀧川鯉斗 「カタカナの 魚ばかりや 市薄暑」 2位
”沖縄の市場に行ったらカタカナの珍しい魚がいた”という句。
季語【薄暑】[夏]:初夏の汗ばむ暑さ
夏井先生「カタカナの魚ばかりやってここの切り取り方がとてもいいですね。独自の視点があります。聞いたこともないし見たこともないカラフルで不思議な形をしたそういう魚が並んでいるんだろうなっていうのが浮かびますね。で、薄暑というのは3音の季語ですから、こういう風に場所の情報とか、それから夕薄暑、夕暮れの薄暑とか時間の情報を2音くっつけてこういう風に光景を整えていくと。これもテクニックのひとつなんですね。とてもよくお勉強なさっていると思いますよ。お見事でした。」
勉強しているとわかる句っていいですね。
ジュニアさんと森迫永依さんが1位と4位で残ってて気が気じゃなかったでしょうね💦
森迫永依 「スキットルの 固き四角や 片陰り」 4位
”西表島に旅行に行った際に、気分があがったのでスキットルを買ってお酒を入れてビーチで休んでいた。暑いので片陰りの中で休んでいた時にスキットルの冷たさ、硬さが印象的だった”という句です。
季語【片陰り】[夏]
や〔詠嘆〕:上の言葉を強調する「!」のような効果
スキットル:ウイスキーなどを入れる携帯用の小型水筒
夏井先生「まずスキットルというこの携帯用のお酒を入れるやつですね。この物が出てくる。その手触りを固き四角という風に丁寧に書いているのもいいですね。「や」の詠嘆は固き四角という感触を強めて詠嘆をしている。ここでカット切り替わって、片陰りという季語、そしてそういう場所・状況そういうものがさらっと書けておりますね。破綻は本当にない句なんですよ。じゃあどうしてこういう順位になるかっていうと、今回のテーマ観光地でしたよね。この片陰りっていう季語では北海道から沖縄まで片陰りのある場所ならばどこでも当てはまってしまうというのが、この句の一番残念なところなんですね。例えば沖縄あたりの独特の植物とか、そういうのを入れてもいいですね。『スキットルの 固き四角の 花梯梧』とかってやったら、花梯梧の赤の色もパッと灯ってくるでしょ。だからこの句の場合はここの季語によって、地域性をもう少し入れてくださったらこっちが俄然とまた生きてくると、これはもう本当にもったいなかったですね。テーマに負けたという一句でした」
森迫永依さん残念でしたね😣ふとした時の物の感触を詠むのってすごいいいなと思ったんですが、確かにこの季語だと場所がどこか予想もつかないですもんね。その場所を連想させる何かを入れないといけないわけですね。
千原ジュニア 「舳先より 泡盛の神酒 一礼す」 1位
”毎年宮古島に行っていて友達の船で沖に出る。その時に泡盛を海に垂らして事故に合わないようにと手を合わせてお願いするのが自分の役目になっている”という句。
季語【泡盛】[夏]
犬山さんが「句碑になると思います」と言っていました🤩
夏井先生「海の神様に無事を祈ると、そういう小さな儀式なんだろうなっていうことは思いました。舳先から泡盛の御神酒を垂らすと競争があるじゃないですか舟漕ぐハーリー(沖縄の伝統行事)、ああいう競争の神事かしらとか、新しい船が進水する時の儀式かしらとかそういうことを色々想像しました。でも今お話し聞いて普通の生活の中で釣りに行く時にそういうことをやると、それを聞くとますますこの句いいなと思いましたね。舳先という具体的な場所、そこからとまずここで映像くっきりと見えます。泡盛という季語、焼酎の傍題になりますけど、これによって地域性「沖縄あたりかな」とちゃんと見えてきますね。そしてそれが御神酒であるよ。ここでカットきれた後の一礼すとこのキッパリとした感じもいいですね。ジュニアさん一礼の句上手いですよね、これ。わかってみるとね」
村上さん・藤本さん「バイク・吾子・一礼?」
夏井先生「これ読み終わったあと、海のこう眩しさみたいなのも立ち上がってきましたね、さっきどなたかもおっしゃったけど私もこれ句碑にしてもいいと思いますよ」
一礼の句が上手いって褒めてるんですよね?😅あんまり使っても良くない気が…💧
さすがジュニアさんは器用な句を作るなって感じです。
次は、
中部ブロック
Kis-My-Ft2・千賀さん、森口瑤子さん、犬山紙子さん、津田寛治さん
津田寛治 「雨後の虹 怒髪ゆるんだ 東尋坊」 4位
”台風が来て雨風がひどい時「あえて東尋坊に行ってみよう」と行ったら、波が怒髪天を衝くように上がっていた。そのあと雨が止み虹が出て怒髪天を衝いていた波もゆるんだように見えた”という句。
季語【虹】[夏]
怒髪天を衝く:怒りで髪が逆立つ様子を表現した故事成語
志らくさんが怒髪ゆるんだという比喩が失敗で、本人の髪が逆立っていたのが虹を見てゆるんだっていう風に受け取ることができてしまう。素直に「波」と書いた方がいいと言っていました。たしかに!😵
夏井先生「まずですね、雨後の虹というこれと、東尋坊というこの有名な地名ですよね、これを取り合わせたのはとても良いと思います。じゃあ何が問題かって言うとやっぱり中七なんですよね。あなたの思いはわかるんだけど、これ、こっちからずっと読んでいくので最後東尋坊が出てきた時にひょっとして比喩かもなぁっていう想像はするんだけど、でもやっぱり怒髪天を衝くというあのことわざにちょっともたれかかり過ぎて、ここの比喩が大袈裟になってしまっている。ここは損したところでしたね。怒髪のように見えたのは今のお話だと波なんですね?じゃあ、波って書いた方がいいですね。怒髪ではなく、白波ってやれば音数がある程度行けますね。『雨後の虹 白波ゆるぶ 東尋坊』こういう風にするんです。こうやるとね、これもうあの、東尋坊の先っぽに句碑にしてもらえるかもしれませんよ」
【古語】ゆるぶ(緩ぶ・弛ぶ):暑さ寒さなどがやわらぐ
今回の番組は句碑をギャグのように使ってますね😅
Kis-My-Ft2・千賀 「熱田守護の 亀の蛭剥ぐ 炎天下」 2位
”熱田区で育って熱田神宮の前の小学校に通っていた。ある時、熱田神宮の守り神の亀が歩いていたが、体に蛭がたくさん付いていた。かわいそうなので持って帰って父親と一緒に蛭を取り、また返した”という句。
季語【蛭・炎天下】[夏]
ジュニアさんが蛭と炎天下が季語なので炎天下を変えればいいのではと言っていました。
夏井先生「これはね~、とにかく上五、中七の素材が面白いんですよね。よくそんなところに目を付けた、もう俳人の鑑のような体験だと思いますよ。で、これ季重なりというマイナス点をガッポリ引いたとしても、もうこの句材がとにかくオリジナリティー、リアリティー溢れていますね。これ蛭を生かして炎天下を諦めれば「えんてんか」と5音も得するわけでしょ、節約できるわけでしょ。これやっとけばいいんですよね、もったいない。そして、今のお話聞くと、「守護」は置いときたいんですよね、きっとね。熱田の守護である亀っていう風にね、そしたらやっぱりね字余りにはなるんですが、「熱田守護なる」とこっちにもってくると「熱田の守護である亀」という風にちゃんと意味が通ってきます。この後です、甲羅にくっついてたの?体にくっついてたの?」
千賀さん「甲羅にも体にも」
浜ちゃん「甲羅でええやん!」
夏井先生「甲羅でも体でも3音なんでどっちでもいいんですけども、亀の甲羅ってここに書きますね。これで映像がさらに詳しくなるでしょ。「亀の甲羅の蛭を剥ぐ」とこう持ってくるんですよ。『熱田守護なる 亀の甲羅の 蛭を剥ぐ』もうこれならあんた断トツ1位になれるぐらいの。もったいない!こういう風に直したら熱田神宮に句碑立つと思う」
句碑立ちまくり🤣
しかし、エピソードがすごい濃いですね。…なんか思ったんですけどこの句、お気に入りの観光地というより、自分の地元の話ですよね?熱田神宮について詠んだからいいんですかね?💧
残りは1位と3位です。
犬山紙子 「胎児寝る 風鈴数多 きゃらきゃらと」 3位
”お腹に赤ちゃんがいた時に西伊豆の風鈴神社と呼ばれている宇久須神社に行った。200個以上あるブルーの風鈴がきゃらきゃらと精霊のような音で、子供が寝かしつけてもらっているような音に聞こえた”という句。
季語【風鈴】[夏]
藤本さんがきゃらきゃらのオノマトペを褒めていました。
夏井先生「私もね~、最後のこのきゃらきゃらがいいなと思いましたね~。このオノマトペは、この風鈴の材質を想像させるオリジナリティーとリアリティーをしっかりと持ったオノマトペだと思いますね。そして問題はどこにあるかという話なんですが、胎児寝ると言い切ってしまったところでちょっと損をしたでしょうかね。この風鈴のきゃらきゃらっていう音がこう、おなかの赤ちゃんを眠らせてくれるようなそんな優しい音っていうイメージなんでしょうか?」
犬山さん「そうでした。まさにそんな感じです」
夏井先生「だとしたら、数はちょっとあきらめましょう、そして風鈴からです。「風鈴のきゃらきゃら」ここまでで、そして胎児にすっと行きます。こっから最後のあなたのニュアンスを出してみましょう。胎児眠らせるようだを「眠らさん」と眠らすかのようだってこういう風に持ってくるんです。『風鈴のきゃらきゃら 胎児眠らさん』そうすると思わずお腹を押さえながら一緒に赤ちゃんの眠りをこの手のひらで確認するかのような、そんな感覚も出てくるでしょう?」
眠らさんってすんなり出てこないですよね…。口語か文語かってやっぱり使い分けないとやっぱりいけないんですかね?💦
森口瑤子 「黴臭い ホテルだけど 海がデカい」 1位
”小学生の頃、ホテルに入ったら海が目の前のせいか黴臭いし湿気臭いしで、嫌な気持ちになりつつ窓を開けたら海がバーンと見えてきてその途端、その黴臭さも全て海の香りの良いものに変わっていい思い出になった”という句。
季語【黴】[夏]
夏井先生「完全に575を逸脱した、しかも口語、なんですけれども、この語り口とこの リズム、調べと内容とがガッチリと手を組んでいるとそういうタイプの句ですよね。「観光地がどこなのか?」明確にはならないんですけれども黴臭いホテルに入って海がこんな風にデカくてっていう、そしたらある程度どういう場所か想像はできますよね、海がでかく見えると。これね、”黴臭いホテルだけど海が近い”だとホテル情報で終わってしまう。海がデカいってこれやるかやらないかこの判断の違いが順位を分けたと、こういうことですね」
夏井先生って森口瑤子さんの俳句、好きですよね。観光地の情報ほとんど出てないですけどいいんですね…。海が目の前にあるホテル山ほどありそうですが💧難しい言葉を使わず、口語でもちゃんと評価されるのはいいですね。
中部ブロックの決勝進出は森口瑤子さん!
次は北海道ブロックと決勝戦をまとめます。
森迫さんの俳句に出てきたスキットル。
キャップは一体型で紛失の心配もありません。外で酔って失くしたらツラ過ぎますもんね😓
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